『うどんすき 杉』

前夜は最終便で福岡から羽田へ帰還、乗り継ぎの悪さで自宅のドアをあけたのは、零時少しを回ってしまっていました。
ということで、同日の晩になりますが、今度は浅草まで出かけて、鹿児島からのお客様とももちさん御一家と一献。


この『杉』という店の所在は浅草浅草寺の裏手の一帯.....地名でいえば浅草三丁目と素っ気ないですが、いわゆる「観音裏」といえば興味をそそられる方もいらっしゃるはず。
そう『浅草見番』の近くです。
当然ながら花柳界の中で三十余年の営業を続けてきているのであれば、味も風情も人情も女将さんの気っ風の良さも、すべて「推して知るべし、あえて語るまい」でしょう。


賑やかな昼間の浅草寺仲見世ですが、午後6時もすぎると店はすべてシャッターがしまり、しーんと静まりかえっています。
私は浅草に用事があってきた際は、よほど時間に余裕がない時以外、浅草寺さんにお参りし、「他所(よそ)から来て、お邪魔させていただきます」とご挨拶。
さらに都合よく、「自分や家族、関係のある周辺の人たちが気持ちよくすごせますように」と、ちゃっかりお願いもして、裏浅草へ。




言問通りを越えただけで、ちょっとした境を踏み越えた感じです。
「うどんすき 杉」は、そんな界隈の、でもあまり深くないところにあります。




いつも最初にでてくる先付けなどのセット。
今はやはり、空豆ですね。
小さい容器にちょっと盛られた蕗味噌が、ことの他美味しく、お酒が進みます。

小鉢のこんにゃくの煮物も、普段自分でつくる物とはまたちょっと違って、美味しい、美味しい。



この時期のおきまり、若竹煮に、蕗が入っていました。



初鰹のお造り。
しょうが、にんにく、穂しそが添えられていて、本当はにんにくも入れたかったけど、翌日の授業を考えて我慢です。



鹿児島からお越しのお客様、Hさん。
今回が初対面でしたが、どうもどこかで私の下情報でも仕入れてきていたのでしょうか、
「いやぁ、コワイ人かと思ってました」と。
私がビールをのまずに、最初から日本酒をいただいているのをみて、妙に納得、安心してくださったようです。
Hさんはビールのあと、芋焼酎のお湯割りを飲んでいらっしゃいましたが、途中で、
「これ、焼酎はいってないよっ!」


ちょっと香りをかがせていただきましたが、決してお湯だけということはありません、
たしかに少々焼酎は入っていました。(笑)
気っ風の良い女将さんが、「ハイハイっ」と目の前で、一升瓶の焼酎をグラスにドバドバ追加していきました。




タマネギと海老のしんじょう。


新しょうがの煮物。
千切りにした生姜が美味しく煮付けてあります。
これがでてきてしまうと、ついもう一杯のおかわりしたくなりますね。



さて、いよいよ杉の「うどんすき」
数年前、一番最初にこの「うどんすき」を食べた時は、うどん好きの私も本当にたまげました。
私の「うどんすき」の印象はずっと京都の「うどんすき」。
お出汁の中で、野菜や海老などを煮て、最後にうどんをいれていただくものでしたが、
この「うどんすき」は、最初からうどんをいれてことことと煮込みます。
でないと、うどんに火が通りません。


なぜかといえば..........
この通り。



うどんというより、ほうとう? いえ、ほうとうより、大きく太い。
すいとんを薄くのした感じでしょうか。

冬場は味噌味の「うどんすき」も登場。
私はその味噌味の方がさらに好きです。


『うどんすき 杉』
台東区浅草3丁目32-2  
03-3874-2225



今回はデジカメをわすれ、携帯電話のカメラで撮りました。

やはり光量の少ない所では無理がありますね。
画像サイズを一回り小さくして、アラが目立ちにくくしたりしましたが、ああ、残念。