街の様相シリーズ〜9『品川浦』


「品川駅」から京浜急行線で一駅南へ、するとそこは「北品川駅」。
「品川駅」の南の駅なのに「北品川駅」のわけは、もともとこの一帯よりさらに南に本来の「品川」があったからだ。
現在の山手線・京浜東北線東海道線「品川駅」はあとからそこを「品川駅」と命名してしまったために、このような矛盾が起きてしまった。
(もともと京浜急行電鉄のここにあった駅は「高輪停留場」といわれていたらしい。)


そんな経緯はさておき、この北品川駅からすぐの旧東海道沿いには「品川浦」と呼ばれる場所がある。江戸時代には鯨が迷いこんで大騒ぎになったこともあるという。ほんのわずかな江戸の痕跡のようだ。
現在はせまい運河が釣り船や屋形船の係留地となり、八ツ山通り際には品川浦公園という道路脇の狭い幅の公園がある。



北品川橋の上から南側の品川浦を南に見た風景だが、振り返ってみれば、インターシティ品川、また北東に運河をわたれば、そこはすぐ天王洲だ。
このような対照的な世界が広がっている場所は近年どんどん増えてきた。
麻布十番付近からの六本木ヒルズ、月島・佃島界隈、西新宿四丁目と超高層ビル群、小石川・本郷付近の住宅地と高層マンション.....
いずれも都市計画の「線引き」によって生まれた景観ともいえる。