夏の残りに元気をはこぶワイン『 Artichaut(アーティショー)恵比寿』にて


気温が高くなってくると、日本酒やワインの売り上げはガクンと落ちるそうです。
たしかに汗をかいたあとのビールは美味しい。
そして夜はどちらかというとアルコール度数の高く、発散するようなお酒が飲みたくなってしまう。
それでどうしても、日本酒やワインは日の目をみない時期となってしまうのでしょうね。


でも、日本酒でもワインでも、夏に美味しい爽やかな風味のものがあります。
そしてまた、夏の盛りもすぎ、なお残暑を過ごしているとき、濃くのある深い味わいで元気づけられるワインもあります。






いつものように、ゆったりとした店内。
今日の出番を待つワインです。
この夜の持ち込みワインは白、赤1本ずつ。




スタートはお店のお奨めのシャンパンから。
『ブルーノ・パイヤール・ブリュット』(Bruno Paillard Brut Premiere Cuvee)
「プルミエール・キュヴェ」、つまりシャンパンの一番搾りですね。
程よくフルーティーで、甘さも頃合いよく、品もあって、 楽しい御料理と会話の始まりの乾杯に最適。





まずは、「レタスのスープ」。
普段生でシャキシャキ食べるレタスと同じ味なのに、しっとりしたスープになっている不思議。
バルサミコの風味が効いています。




前菜は「鎌倉野菜をつかったプレッセ」と、「マグロのカルパチョ」。
オクラやインゲンなど季節の野菜が綺麗にもりこまれたテリーヌです。




マグロはタタキ風に表面をさっと炙ったもの。
とろっとした霜降り肉の刺身を食べていると錯覚しそうです。




白ワインはI羽さん持ち込みの一品。
『Clos Floridene 2004 』(クロ・フロリデーヌ)
ボルドーのGRAVES(グラーブ)。



「マセラシオン・ペリキュレール」
砕いたぶどうを皮と一緒に一晩寝かせ、皮の香りを移す製法で造られたワイン。


樽の香りもしっかりと残って、しかもバターのような濃い風味は、一瞬夏向きではないのでは?と思ってしまうほどですが、
実際に味わうと、爽やかな酸味が残って、その不自然さを感じさせなくなる不思議です。
しばらく置いて、ややワインの温度が上がったころに、ふとパンの中に入っていた乾しぶどうを食べてワインをのむと、とても良く合って驚きでした。
辛口とはいえ、とがった辛さもなく優しい飲み口です。

50%セミヨン
40%ソーヴィニヨン・ブラン
10%ミュスカデル10%






グラスをかえ、風味の違いを楽しむのもまた一興。
こうした楽しみ方に快く協力してくださる、これもお店の居心地の良さの秘密の一つ。




メインはいつもお願いをしてしまう、国産牛のロースト。
岩塩の塩味が肉の風味を引き立てて、このシンプルな食べ方が一番上等な国産牛に似合います。



赤ワインは私の秘蔵、スペインのPRIORAT(プリオラート)の『CLOS FONTA 2000』(クロ フォンタ)
このワインはとにかく素晴らしい。
以前にも、何本か呑んでいて判っていても、グラスに注ぐ度に「素晴らしい」と言ってしまうワインなのです。
深み、コクを備えて、注がれたワインは黒みさえ若干かかったルビーの色。
スパイシーで強いインプレッションはスペインの太陽を思わせるようです。
しかも、9年目の今年はそろそろ飲み頃だったようです。


このワインは実に複雑な葡萄の品種からできています。
味わいの複雑さも、こういった4種類の葡萄のなせる技でしょう。

30% ガルナッチャ ペルダ
25% ガルナッチャ パイス
25% カベルネ・ソーヴィニヨン
20% カリニェーナ



エチケットには『No 00565』というシリアルナンバーが入っています。




フロマージュに何種類かのチーズを。






デザートはキュウイソースの添えられたクリーミーなスイーツ。




最後に可愛い焼き菓子をいただきながら、カプチーノを呑みました。




18時に店に入ったときはまだ時間も少なく、私たちだけでしたが、中盤から他のお客さんも見え、
そして、また気が付けば、ワインを味わう私たちだけが最後に残るという、ゆったりとしたディナー。
最後に食後酒としてキールまでいただいてしまいました。







(おまけ)
これは謎の1本。
さすがに3人でシャンパン、白、赤ときては多すぎで、結局栓を抜かなかった赤ワイン。
とても特徴的な顔がエチケットに描かれていますが、何なのでしょうね。
patapon』(パタポン



呑まなかったものは案外気になるものです。
調べてみると、ロワールのビオロジックワインで、エチケットの顔は、「クリスチャン・ショサール」というワインの作り手自筆の似顔絵らしいのです。
ロワールの黒葡萄「ピノー・ドニス」という品種で、ヴィンテージによっては「ガメイ」が20%ほど入っているそうです。
「Coteau du Loire」(コトー・デュ・ロワール)の格付けが通らず、「Vine de Table」(テーブルワイン)になってしまったこのワイン。
調べると、かえって気になってしまいました。






以前のアーティショーでの至福はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/tangkai-hati/20090326/1238156635




『フランス料理 Artichaut (アーティショー)恵比寿』


〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-6-29 アコルタTS1F
tel:03-3446-9747
営業時間:11:30〜14:30(L.O.)
18:00〜23:00(L.O.21:30) 
定休日: 不定



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