梅雨入り前の華

毎年、梅雨入りも近くなったある日の晩。
ベランダに面した窓をあけて、夜中に仕事をしていると、どこからともなく風にのって、
白粉(おしろい)のような甘い品の良い香りが漂ってきます。
それはまるで、外に妙齢な女性がたっているのではないか思うほど。




冬の間、乾燥した色の葉だけがのびる鉢。
そこに、5月も半ばとなると、小さい芽がつきだし、あれよあれよという間に、大きな花の蕾。
そして、これもあっという間に、夜華開くのです。


白い花の「月下美人」は大いに話題にされますが、華やかさならこの「クジャクサボテン」のほうが上手でしょう。


濃いピンク色からうっすらしたピンク色への花弁の見事なグラデーション、そして香り。
まさに「花」ではなく「華」に相応しい花だといえます。


1つの株に、多くの蕾をつけますが、一番最初に花開いたものが一番大きく、次に開花するもの、その次...と
どんどん蕾は小さくなり、終いには小さい花しか咲かせることができなくなります。
花を咲かせるためのエネルギーは最初にかなり使われてしまうのでしょう。


夜があけ、陽がのぼり、そして、この花はしぼんでいきます。
ただ、天候が悪く暗い日は、そのまま咲き続けます。
夜の間だけ咲き続ける華やかな花。


昨年は6月15日、一昨年は6月7日の開花でした。