島の夜と魔除け

一瞬涼しくなったのに、すぐ元の猛暑に逆戻り。
沖縄や鹿児島より連日気温が高いとなると、妙に沖縄の島の事が思い出されます。


例年、島での休日は午前、午後1本づつのダイビング、そして夕方食事前には釣り竿をもって目の前の堤防下で夕食の魚釣り。
潜らない日は無人島に渡してもらい静かに昼寝をするか、シュノーケリングで近くの明るい綺麗な珊瑚の海と魚を眺めて過ごします。
夜は晴れていれば同じ堤防へ、麦酒や泡盛のシークワーサー割をもっていき、ごろりと余熱の残る地面に寝転がり、降り落ちて来そうな星や流れる星を眺めて時間を過ごします。時々、島トーフ屋のオジィが三線(さんしん)を持ってきて誰に聞かせるともなく、島唄を唄います。
さらに9時頃になれば、片付けの終わったダイビングサービスへでかけ、庭で泡盛を飲みながら、その日のダイビングを振り返ったり、海の話をしつつ夜は更けます。
ただただそうやって、過ぎていきます。


先日の沖縄行でも、2番目の夜はダイビングサービスへ。
ところがそこへ行くには、実は一ヶ所、身の毛がよだつところを通らないとなりません。
この島に通って21年。毎回そこを通ると、体の半分側に鳥肌がたって、動けなくなる場所があるのです。
急傾斜の崖の藪の中から、何者かがじっと見ているんです。
決して飛び出してきて背中にとりついてくるような感じではありませんが、信じられない位大きな鳥肌がゾクゾクっとたち、気持ちの悪さに早くそこを通り過ぎたいのに、体が固まって動けなくなる(よく夢の中で逃げるのに脚が動かなくなるような)....


とても一人では通れません、同じ定宿の民宿に泊まっていた、同じサービス利用のお客さん2人も行くというので、時間をきめて一緒にいってもらう事にしました。この事は民宿のおばちゃん(現在はすでに、オバァだけど、昔からおばちゃんと呼んでいたので)や、手伝いにきている娘のトモヨちゃんも知っていて、夕食の時、その話題をきいて魔除けをつくって渡してくれました。



中には米と塩が入っています。(米は煎った物を使うこともあるようです)
これは布の小袋にいれて、お守りとして車においたり、持ち歩く人もいます。


さて、これで安心....そう思いながら、明日の支度をしつつ約束の時間9時が来るのを待っていました。
すると、それまで何でもなかったのに、珍しく急な腹痛が!
「このままではとても一緒に行けない」そう思った時に「おまえ、そんなものを持って通るつもりか」という、小声で唸るような声が聞こえたような気がしました。
どうも、私が魔除けを持って通るのを阻もうとしているのか、同行者なしで一人で通らせようと仕組んでいるのか、どちらにしても、良いことは何一つありません。この時点で冷や汗と鳥肌がゾクゾクたってきました。


まもなく、島の放送設備が夜9時のチャイムをならし、約束した2人と出る時間になりました。
魔除けをしっかり手にし、階段をおり、民宿の門をでて歩きだし、3分もしないうちに、問題の場所です。
2人の陰に隠れるように歩いてた私ですが、やはり左半身に悪寒が走り出し、さらに魔除けをぎゅっと左手で握りしめ、ただただ早くそこを通り抜けようと足を前に進めました。


するとその時、「ガラガラガラーーッ!」


静まり帰った村なのに、いきなり大きな音がその崖の下でなり響き、思わず「ギャー」っと声にならない声で叫びました。


接近していた台風の影響もあって、時折変に巻く風が吹いていたことは確かですが、その風が崖下にあった何かの金属板を転がして音がなったようです。でも、おそらくそれは魔除けを握ってあるく私への嫌がらせと警告だったに違いありません。


あっ.........


これを打っている今も、ベランダで妙な音がし出しました。


外では雨が降っているようでもありません、
なのにカタカタカタ....
何かの気配がします。


わ....恐ろしすぎます。
ひとまず、ここでやめます。