『'THE SCRAP' 懐かしの一九八○年代』読了

この本は1982年春〜1986年2月に、スポーツ雑誌『ナンバー』に連載されたもので、1987年2月1日に第一刷が出版されている。
著者、村上春樹が1949年1月生まれだから、33〜37歳の頃に1980年代だったわけで、決して過去を振り返った回想ではないようだ。
『ナンバー』経由で送られてくるアメリカの雑誌や新聞の中から、面白そうな記事をみつけて、それをまとめて原稿にしたエッセイを連載したもので、当時のさまざまな出来事、流行事がタイトルとなっている。


この1980年代の私の記憶はかなりあやふやだ。というより、妙に鮮明に記憶している出来事とまるきり記憶にない事が交錯している。
本の中にでてくる事件、事柄も、「そうだったのか...」と納得をさらに重ねる事ができる物事もあれば、全く訳のわからない物事もある。
しかし考えてみれば、村上春樹は1980年代を30代で過ごしているのだから、私が知らない大人の世界があっても当然のことだろう。
知らない事を読んでも面白くないし、ああ、そんな事があったのかという程度でしか共感を覚えないのだから、読むスピードも速い。


そういうことで、タイトルには「読了」と書いたが、小説の「読了」とはちょっと意味が違うかもしれない。



懐かしの一九八○年代 ‘THE SCRAP’

懐かしの一九八○年代 ‘THE SCRAP’