街の様相シリーズ〜8『六月の蛇』


今日の東京は普段ないほどの強い雨が降ってはやみ、やんではまた降りだし、時には雷鳴までとどろいている。
ちょうど秋雨前線の真下に位置しているため、前線の北から秋、南から夏がせめぎ合っているようだ。
ところで、このザーザーという雨音を聞きながら、1つほっとしたことがある。


またこの理由

書こうと思っていながら、時期(タイミング)を逸して書けなくなってしまう話題が多い。頭に文章が浮かばずに書けないという事ではなく、その話題を載せるのに適したタイミングで無くなってしまったという事だ。

http://d.hatena.ne.jp/tangkai-hati/20070909/1189321690


で書けずにいたことがあったのだ。
今年は空梅雨で雨がほとんど降らなかった。ようやく梅雨明け頃に降り出したかと思えば、今度は南九州で大雨が続き大きな被害もでた。「雨」を中心にかくことがとても憚られた。
残念ながらタイトルだけはいかんともしがたい6月のままだが、これは「本当は6月の半ば、梅雨に入って降るどうしょうもないほどの雨の日に掲載するはずだったから」だと、まず書いておきたい。



「映画の中の街に雨が降る」それは様々な効果を考えての演出だ。
人によっていろいろだろうが、私には雨のシーンが印象的な映画がいくつかある。


オープニングが印象的な『シェルブールの雨傘
クライマックスでいえば黒澤明監督の『七人の侍』、『アメリカンビューティー』、『ティファニーで朝食を
降り続ける雨であれば『羅生門』、小泉堯史監督の『雨あがる』、ジーン・ケリーが雨の中で唄って踊る『雨に唄えば』、『ブレードランナー
松田優作主演だった『ブラックレイン』、
あー『となりのトトロ』と『魔女の宅急便』も。



しかし、ここ数年の中で一番私の脳裏に残った映画が別にある、そしてそれは今も頭から離れない。
途絶えることなく沢山の雨がその「街」に降り注ぐ、そのザーザーと周囲の音までかき消す中で、狂おしい程きれいな主人公と情景の映画。
それが塚本晋也監督の作品『六月の蛇』だ。


メインサイト
http://theres.co.jp/rokugatsunohebi
のリンク先はすでに存在していないが、なぜか「index2.htm」というセカンドサイト的なものがまだ残っていた。
http://theres.co.jp/rokugatsunohebi/index2.htm



この映画が公開されて見た時には、ストーリーを記憶もしているが、ただただ降り注ぐ雨の印象があまりにつよく、「映像」としての美しさと主人公の美しさ、そういう断片的な受け止め方だけをしていた。しかし数年たち、さまざまな物事に接してからこの映画を思い出してみると、もっと奥底の「女性」が悲しくも具有する本質や、そこへ忍び込む悪魔(この映画では一匹の蛇)がクローズアップされてきた。そして、今外に降りしきる雨の音の中で、脳裏によみがえってきた街と女の映像。
やはりもう一度、今の自分で見てみたいと思う。



『A SNAKE OF JUNE』 (塚本晋也 作品)
この作品は2002年 第59回 ベネチア国際映画祭で『審査員特別大賞』を受賞している。



六月の蛇 [DVD]

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七人の侍 [DVD]

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ティファニーで朝食を [DVD]

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羅生門 デラックス版 [DVD]

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雨あがる [DVD]

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雨に唄えば [DVD] FRT-089

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ブレードランナー 最終版 [DVD]

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となりのトトロ [DVD]

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魔女の宅急便 [DVD]

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