いついっても変わらない安心感 とんかつ『とんき』


長らくこの店に足を運んではいますが、少し間をおいてしまい再び訪れると、変わっていないことに妙に安心感を覚えるのがこの店です。
引き違い戸をあけて入れば、そこは広いオープンキッチンとカウンター。
今やオープンキッチンは流行のようですが、それ以前にこのスタイルを確立していたのはすごいことです。


4時開店のこの店、5時ともなればもう満席で、あとから行くとカウンター背後の椅子に座って待ちます。
先に注文をとってくれるので、そこで待っても、カウンターに移ってからの待ち時間は短く、なんと合理的かと最初にいった時に感激しました。ですがこの店のすごいのは完全分業制のところでしょう。
キッチンの中で揚げ油の釜を守り、揚げて切って盛りつける作業をしているのが一番年長の、おそらく店主でしょうね。
そしてよく似た顔の数人、兄弟や親子の関係でしょうか、衣を付ける作業、注文をとって席に誘導する作業、カウンターの客へのサービス(お茶、ビール、食後のおしぼり、会計など)の作業...と、見ているだけでその動きの機敏さ、回転の良さに感動してしまいます。




混み合う店内に入って待つ場所は特にあいている椅子であればどこでもOK。次々にくる客に自分の順番は大丈夫だろうか?と思うのですが、これもまた見事な記憶術、どんな人が何人こようと、順番を違えることなく空いた席に誘導されます。


席につくと、さっとおしぼりが出され、しばらく待ってカツが運ばれてくると、味噌汁の係の人も寸分遅れず料理をそろえます。
食べ進んでいき、キャベツが少なくなったと思った瞬間、目の前には線切りキャベツのはいったボウルをもった係の人がたち「おかわりはいかがですか?」


そして、食べ終わる頃、最後の御飯の一粒を口にいれた直後に、新しいおしぼりを持ってきてくれます。
この心を読まれたのではないかと思うほどの絶妙のタイミング。ただただ驚きです。


さらに驚くことは常に油をつかって大量の揚げものをしている店にもかかわらず、カウンターは白木で真っ白なまま、調理場の床も白木で油しみ一つない清潔さ。単に美味しい物を食べさせるだけでない拘りがあるようです。




夕食時に目黒へいくと、立ち寄りたくなる店です。



『とんき』


東京都目黒区下目黒1-1-2
tel: 03-3491-9928
毎週火曜・第3月曜 定休日
営業時間16:00 - 22:45(L.O.)