有無をいわせぬ倶知安の『豪雪うどん』


北海道のN村さんから年末にニセコワインとともにいただいていた『豪雪うどん』
倶知安(くっちゃん)の名産品で、通常のうどんのような小麦粉ではなく、男爵芋(じゃがいも)からできているという。


そもそも倶知安がどこか? 知人が一人、倶知安に住んでいたので、だいたいの場所は判っている。ニセコ、そして羊蹄山の美しい景色は時折写真でもみかける。ところが、倶知安が北海道の豪雪の地だということだけは知らなかった。



さて、このうどんには到着した時から、圧倒されっぱなしだった。
宅配便配送のいつものオニイサンは、真黄色い包みを持って「今日はこれです」(今日はお酒でないですね)と玄関前に立っていたし、受け取ってテープをはずすと、こんな袋だった。




真黄色い色波と「豪雪」という文字がドーンと目に飛びこんできた瞬間、


「は、はいっ!わかりました、ごめんなさいっ!」


思わず、そう言ってしまった。
別段、何も悪いことをした訳ではないが、とにかく有無をいわせず、
「豪雪なんですね」「ははぁ! m(__)m」
と言わされてしまう威圧感。



とにかく「豪雪」なのだ。




何がなんでも「豪雪」なのだ。




ここまで来ると最後の最後まで「豪雪」でなければいけないような気分。




年末は慌ただしく、この「豪雪」を受け止める余裕がなかったため、年が明けた今日いただいてみた。
乾麺があるようだが、いただいたものは半生麺。ゆで時間は(差し水をしながら)約10分ほどとあった。
茹でる前に麺を手にとってみると、ぽそぽそともろい感触があり、ちょっと力を加えるとプツプツと切れてしまうようだ。麺自体も長くはなく、袋の中にはちぎれた短い麺が入っている。
これはどんな風になるのか、不安ながらも熱湯で茹で上げた。


途中、8分ほどで様子を見てみる。



茹で汁は麺が溶け出したように白濁し、とろんとしている。普通うどんの場合、こうなると茹ですぎでどうしょうもない状態になっている事が多い。恐る恐る麺をつまんで、水にさらし、口に運んでみた。すると外側はぬるっととろけたような状態にもかかわらず、まだ中央には芯のようなものが残っている。
どうしたものか迷ったが、箱の中にあった茹で方の説明通り、おとなしく10分間茹でることにした。


茹で上げたあと、水で良く洗う。讃岐うどんなどでもそうだが、この処理をしないとうどんは引き締まらない。
うどんというより、デンプンを使った麺類全般に共通の事だろう。
洗っていくと、外側のぬるっとした部分が落ち、中からツヤツヤした光沢のある麺が現れた。
この張り、透明感のある真っ白な麺は、うどんというより、むしろ蒟蒻麺に近いようだ。



数本をざるうどんのように、水切りしてそのまま食べてみた。やはり、白滝を太くしたような食感だった。しかもジャガイモの風味がする。さて、まずはどうして食べようかと思った時、このジャガイモの風味が真っ先にこの食べ方を思いださせた。



あれだけ強力に「豪雪」といっているのだから、こちらも有無をいわせずいきなり「カレーうどん」にした。



普通のうどんの場合、カレーの汁にいれると、あっという間にその汁を吸って色が黄色くなる。しかし、この豪雪うどんはやはりタダのうどんではなかった。絡みはするものの、ほとんど汁気を吸わない。
色はあくまでも白いままだ。



こんな状態ではあるが、さすがジャガイモ95%の麺だ。
カレーうどんにはそのコシと、噛んだ時に感じるほのかなジャガイモの風味が実によくあった。




話は「豪雪」に戻るが、私は倶知安の豪雪は知らなくても、仕事などの都合で中越の豪雪地には縁深い。何メートルもの雪の壁の間を通ってセミナー会場へいったこともあったし、4月にはまだ雪深い豪雪の地を新幹線で抜けて通勤を始める。
豪雪の地だからこそ、美味しくできる米と酒も好きだ。
ところが、日本でも有数と言われる新潟の豪雪地では、この豪雪うどんのような「豪雪」をウリにした名産品やキャッチコピーを見たことがない。むしろ豪雪の間はじっと我慢強く耐えて凌ぐスタイルではないかと思う。


それに比べ、対照的なのがこの倶知安ではないか。単に地元特産品のジャガイモを加工した品として出すだけではなく、「豪雪」と名付けてしまうのだから、そのノリというか、勢いは一度行ってその場で感じてみたくなるというものだ。



『豪雪うどん』


発売元  ホテル第一会館 0136-22-1158
http://www.umaibeya.com/gosetsu/



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