『クエ鍋』とともに銘酒を
お酒を美味しくいただくコツは、
「良い肴、良い相手、良い雰囲気」これに尽きますね。
今宵は今が季節の「クエ」をお造りと鍋でいただきました。
クエはちょうど前日に、佐世保から入ったという巨大なクエだそうで、これは良いチャンスとばかり迷う事なくクエ鍋を選んだのです。
磯自慢に始まり、いくつかの日本酒を堪能したあとは、お待ちかねの新酒。
年もあけ、そろそろ新酒の出だす時期。
トップバッターのように出てきたのは、『福祝 あらばしり』
「あらばしり」なんと新酒を表すのに相応しい言葉でしょう。
槽口、垂れ口も酒蔵の様子を思い浮かべるに、日本好きにはたまらない風景、これも新酒の代名詞。
おりがらみ、うすにごり...とまだ沢山の名前がありますが、いずれも新酒についた嬉しくもある名前。
『福祝 あらばしり 特別純米酒無濾過生原酒』
千葉の久留里の名水をつかった美味しいお酒。
しかもなるほどこれは新酒という華やかさがあります。
あまり強烈すぎない発泡ですが、やはり口に含んだときの発泡感、それに口当たりの良さ。
十分にあぶないお酒です。
いうまでもない黒龍の仁左衛門。仁左衛門という名は初代の蔵元の名前です。
(これに対し、「石田屋」という大吟醸純米の長期熟成酒がありますが、こちらは屋号)
大吟醸純米を「斗瓶囲い」して熟成させたものです。
「斗瓶囲い」は、「斗瓶取り」(加圧しないで自然に滴り落ちた雫を斗瓶に集める)した雫酒を保管熟成させ滓(おり)を引いたもので、製法からしても量の少ない貴重なお酒です。
口に含めば非の打ち所ない、すばらしいバランス。人間でいえば「如才ない」とでもいうのでしょうか。
この「斗瓶囲い」という製法を思うと、少しづつ味わうその先に、滴り落ちた一滴一滴を集めて熟成させていく様も浮かび、盃にあつめた粋に、ひとしおの美味しさを感じます。
無粋ながら、定価21,000円のこの「黒龍 仁左衛門」、限られた数のために市場では倍以上の5万円もの値がついて取引されているそうです。