書いておきたい......と思うこと『日本最北端』について




さて、ここはどこだろうか?


マップの左上でスケール調整(-)を5〜6回押して範囲を拡大してみていただきたい。


この地図では一切の地名が出てこないので、別に地名の判るマップのキャプチャを添えてみる。地名をみると、北海道だろうと察しはつくだろう。



では北海道のどこか?


ここは事実上、日本の最北端の地だ。
なぜ事実上という言葉をつかわなければならないかというと、先日のエントリー「懐かしの旅シリーズ〜1『稚内・日本最北端の宗谷岬』」に関係している。まだ見ていなければ、できれば先にこちらを見てからこの先を読んで欲しい。


たまたま過去に仕事で訪れた際、宗谷岬へ行くチャンスがあり、岬の突端、オホーツク海の目前にある「日本最北端の碑」なるものの前で記念写真を撮った。その時は特に何の意識もなく、その碑にあるとおり、日本最北端に来ているんだと思い、帰ってからもつい先日までは普通にそう思っていた。
しかし、先日のエントリーを書いてから、ある方から「日本最北端は択捉島...」という言葉をいただいて、あわてて地図を再確認してみた。


不確かな地図の記憶というのだろうか、私は根室海峡の中にはいりこんでくる北方四島のうちの択捉島北端よりも、対岸目前にサハリンの南端がみえる宗谷岬が北だと思っていた。
そのために、宗谷岬に「日本最北端」の碑があることに違和感をもっていなかった。



ところが、どうだろう。この地図だと明らかに択捉島北端のほうが北に位置している。
そして、その最北端が最初にあげたマップのマーカー位置。
『カモイワッカ岬』というところだった。


北海道 択捉島カモイワッカ岬(北緯45度33分28秒・東経148度45分14秒)
稚内市 弁天島宗谷岬)  (北緯45度31分13秒・東経141度56分27秒)



この事から日本最北端をどことするか、その曖昧さが気になりだし、最北端の碑をおく稚内をすこし調べてみた。


宗谷岬に「日本最北端」の碑をおいていることからして、宗谷市は「宗谷岬」が日本最北端だと主張していると思う。
稚内市のHomePageではどうなっているだろう。
こちらでは「日ロ友好最先端都市わっかない」という言葉が前面にでていて、「日本最北端」という言葉はつかわず「日本のてっぺん」にとどめている。
しかし稚内観光協会では、TOPページに「日本最北端の地」と記している。「日本のてっぺん」という書き方も並記はしているが、やはり「日本最北端の地」だという主張だろう。
そして何より、稚内観光協会の名の入った「日本最北端到着証明」が宗谷岬売店で売られているというのだ。


まさに地自体としての稚内市北方四島が日本の固有領土であるという中央の意図に極力たてつかないようにしつつも、観光協会という観光により地元活性化を図るという大義名分の団体によって、択捉島の存在を無にして、宗谷岬が日本最北端だと主張している。この二重の構造はむず痒い。


上に載せた拡大地図をもう一度みていただきたい。北海道と北方四島の間(根室海峡)、そして北方四島の一番北択捉島とその北のウルップ島との間には、同じ破線が引かれている。
この破線は何か? 国境だろう。
ではなぜ二重にあるのか。日本の国境境界線にはさまれた北方四島はいったい何という国なのだろう?


謀らずしも、二重という言葉が共通に出てきた。
一国の重要な定義「国境」が「本音」と「たてまえ」というような安易な二重の構造でこのまま存続できるのだろうか。