雪国


まもなくここは

これでもか、これでもかと
雪が身の丈の何倍も降りつもり
すべてを閉ざしてしまう


そんな中でも、誰も絶望しないのは

年があけ五月になれば
ふたたび雪が消えていくことを知っているからだろう

田に水を入れ、苗を植え、
秋には黄金色の稲穂が頭を垂れるのを知っているからだろう



『わからない』ことの不安、
『憶測』のこころもとなさ、
『ことば』のかなしさ


どれもが私を『知る』ことの安心からとおざける