ワインと料理と音楽と...『アーティショー(Artichaut)恵比寿』での至福

恵比寿駅を東側にでて、どんどん東へと進んでいくと、沢山の飲食店やビルがふっと途切れそうになる交差点があります。
そこが恵比寿二丁目交差点。
そこからは昔の恵比寿がまだ残っているような一体ですが、その交差点を右にガーデンプレイス方面におれてすぐのところに、フランス国旗を掲げる店があります。



柔らかな調光の店内にはシンプルでスタイリッシュなインテリア、決して広いとはいえない店内でも、ワインラックやテーブルが巧く配置され、半個室のような落ち着きを感じられます。
さりげなくおかれた小物も邪魔にならず、そして香りの強くない花のディスプレイにもほっとします。



ワインはシャンパン、白、赤の3本を持ち込みさせていただく3人での食事会。
子供の誕生年のワイン、記念すべき年のワイン、入手困難なものをようやく入手でき皆で味わいたいというワイン....
特にワインには思い入れのあるエピソードが多いものです。
店の料理に店のワインを合わせていただくのも一つの楽しみ方ですが、ワイン好きが3人集まってはやはりこれはというワインを持ち込んで楽しませていただきたくなります。
こんな楽しみを叶えてくれるワイン持ち込み可能なお店は大切ですね。


最初の1本は、ロゼ・シャンパン。

『Champagne Jacques Defrance Brut EOSE』(シャンパーニュ・ジャック・ドゥフランス)

ジャック・ドゥフランスのあるレ・リセィ村には3つのAOCがあるそうです。
淡いロゼ色ではなく、やや橙色がかったチェリー色で、樽香も感じます。
さらに辛口ではあっても、ほんのり奧底に甘さを感じる、まさにこの季節、お花見にぴったりのシャンパンかもしれません。



御料理は「自家製パンのスープ カプチーノ仕立て」
香ばしいパンの香りのするスープで、泡だちがまるでカプチーノのようです。



白は私が持参した、

『PULIGNY-MONTRACHET 1er CRU LA GARENTE 1999』
(ピュリニィ・モンラッシェ・ガレンヌ)

以前、Chassagne-Montrachet(シャサーニュ・モンラッシェ)を飲んで、ナッツのような重厚で品のある味わいがすっかり好きになっていましたが、そのシャサーニュとムルソーの間あたりにあるそうです。



グラスに注ぐと黄金色に輝き、白ワインではなく金ワインだと思わずにいられません。
最初は左のような一般的な白ワイングラス(シャブリ用)が出されたのですが、モンラッシェにだけはもっと口元の広いモンラッシェグラスが欲しいところです。
お願いをして、少し口の広いグラスも出していただきました。
これは2つを飲み比べれば一目瞭然。
その差はかなりのものです。
注いで少し時間をおいて飲むと、全く別のワインではないかという程の味わいの差があるのです。
口元の広いワイングラスでは、飲む時に口に広い幅で含まれるので、舌の両脇でも味を良く感じます。
反面、口元の細いワインでは舌先のせまい範囲で味を感じることになるので、当然、舌の味感覚差で味が異なってくるのです。
口元の広いグラスで飲むと、濃厚なナッツ系の香りに加え、酸味も感じられ、華やかさが増します。


ワインはどんな種類が好きかと聞かれれば私は以前から「ブルゴーニュの白」と答えています。
重厚なのに粘らない、さらにほんのりと果物の香りを秘め、柔らかな調和した酸味....
どれをとっても、成り上がりではない、古くからの育ちの良い品のある白ワイン。



御料理は『鎌倉野菜のプレッセ(テリーヌ)』
春らしい見た目の色合いに、野菜がぎゅっと詰まった爽やかな一品。
もちろん、ロゼ・シャンパンにも、ピュリニィ・モンラッシェにもとても良く合います。



二品目は『ワカサギのエスカベッシュ(マリネ)』
写真のピントが甘くなってしまって、残念ですが、ツクシの揚げたものも添えられています。




『大山牛のロースト』
きっと良い塩を使っているのではないかと思うのですが、さっと焼き上げた肉についている塩味はシンプルで肉の味がしっかりと楽しめます。
今回はサシ入りと普通のロースと、比べていただけるよう2種類を盛り合わせていただきました。




3本目のワイン、赤は

『Chambolle-Musigne 1er Cru Les Charmes 1989 天地人ラベル』
(シャンボール・ミュジニー・レ・シャルム)

ブルゴーニュの日本人、仲田晃司氏がプロデュースしている「天地人」という3文字が入ったエチケット。
最近はオレンジ色のラベルのものが良く出ているようですが、白いラベルの天地人は2000年より前の「レア・コレクション」のようです。


さて、このワインですが.....
香りをかいで、これは?! いつかかいだ記憶がある香り(匂い)なのですが、思い出せません。
最初に一口含んだ感想は「固い」、そして獣系のような香り。
頭の中の経験と記憶を一生懸命辿るのですが、思い出せません。
ところが、色々とお喋りをしているときに、ふっと思いだしたのです。
なんという例えかと思うかもしれませんが、口の中を切ってしまった時のあの血のような味。
鉄分なのでしょうか。




御料理とワインばかり書きましたが、実は今回はワインの持ち込みだけではありませんでした。
たまたま素晴らしい演奏だ...ということで、CDを紹介しようと持ってみえたものがあり、店内には他のお客さんがいないということで、さっそくそれをBGMでかけていただいたのです。


『パリの原智恵子』


[rakuten:murauchi-dvd:11422170:detail]



フロマージュ少々をいただき、さらに謎な赤ワインをクリーム系のデザートにあわせて試してみたかったので、少し残しておいたのですが、
クリームブリュレはまさにぴったり!
ただ、ブリュレの上にのっていたチョコレート風味の添え物は合いませんでした。



最後はカプチーノをいただいて、余韻を楽しみ、おしゃべりが尽きないものの、ふと時計をみれば、店に入ってからすでに4時間の経過。
なんとも時間のたつのが早く、名残惜しい宴でした。





『フランス料理 Artichaut (アーティショー)恵比寿』


〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-6-29 アコルタTS1F
tel:03-3446-9747
営業時間:11:30〜14:30(L.O.)
18:00〜23:00(L.O.21:30) 
定休日: 不定



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