大隅半島の照葉樹林『金弦の森』を行く(キノコ編)


今月9月に歩いた『金弦の森』では、多くの照葉樹(常緑広葉樹)があり、中には樹齢500年近いだろうかなりの巨木が生育していたり、あるいは何らかの理由で倒木となり、それが朽ちて森林更新の一端となっていたりと、手つかずの照葉樹林として現存するのはとても貴重な姿だ。


今回はこの時期ということで夏の草花にであうことはできなかったが、秋のこの季節そして台風の雨のあとという条件で、山道の周辺には沢山のキノコをみかけることができた。
すべてを写真に納めたわけではないが、一見するかぎりほとんど毒キノコと言われているものか、または美味しくないでああろう、食用にで記さないものばかりだった。



枯れたブナの木の元にみかけた立派な椎茸! ではない、毒のある『ツキヨタケ』。
間違えて食べるとひどい嘔吐と下痢に襲われるという。
名前の通りで、暗い場所におくとぼーっとキノコが光ることで見分けがつく。
割くと、中に黒い紋様があってそれで見分けることができるとも聞いた。




致命毒のある『ドクツルタケ』?
タンパク質を破壊してしまう恐ろしい毒をもち、体内に入ると内蔵がスポンジ化して苦しんだ挙げ句に死んでしまうそうだ。
1本で体重60kgの大人の致死量の毒という。




『ホウキタケ』は食べられるらしいが、この『ハナホウキタケ』または『キホウキタケ』は腹痛をおこしてよろしくないらしい。





『ウスキブナノミタケ』にもみえるが、もし『タマゴタケモドキ』であれば致命毒。
食べた直後は嘔吐・下痢で単なる食中毒にみえても、数日〜2週間後になってから意識障害、内臓のひどい炎症、脳軟化という惨憺たる症状が現れて死亡してしまう、時限爆弾のような超恐ろしい毒キノコ。




名前は判らないが、朽ちた木の陰に怪しく濡れ光るキノコ、2種。
食べてみたいとは思えない。





なかなか絵になる場所に生えているものもあるが、遠慮しておきたい。




主に倒木にみかけた堅いキノコ類。
じっくりみていると、年輪のような色のグラデーションがとても綺麗なものもある。









これはキノコのような菌類ではないが.....


と書き出して、実はこの名前をすっかり失念してしまった。
そこであわてて同行のHさんにメールでお聞きしたら、さっそく教えていただけた。

赤いキノコ見たいなものは「ツチトリモチ」(ツチトリモチ科)です。
土に下にゴツゴツした山芋みたいな根があります。
その部分を取り出して叩くと鳥もちになることからこの名前がついたそうです。表土のやや薄い成熟した照葉樹林に九月〜
十月頃忽然と現れます。
ヤッコソウとともに照葉樹林のシンボルだと思っています。


トリモチは私がまだ本当に小さい頃はこれをつかって、スズメなどの小型の鳥をとっていた記憶がある。
深紅で表面が細かいつぶつぶに覆われ、ちょっとグロテスクにもみえるが、落葉の中に埋もれていて、ちょっと目につきにくい。
いろいろ調べていたら、赤くない また、食べると柔らかで梨のような味、という記載もあったが、食べるのは遠慮しておきたい。



このエントリーでは毒か(食用か)という書き方をしたが、基本的にこの照葉樹林内の動植物には手を触れてはいけない。
ただ、キノコには格好の環境のこの林で、毒キノコばかりであるはずはない。
今回は朝10時すぎのスタートだったが、おそらくは朝早くにここへ入り、毒キノコをさけて食用キノコだけ採取していく人がいるのだろうと想像せざるをえない。