読んじまった....... って、確かに。
私にこの本を紹介してくれた人は、自分が上巻を読み終えたときに、こう言っていた。
「読んじまった」
実はこの言葉は私がこの本に興味を持った時に、私を大いに怯ませた。
どことなく投げやりのような後悔を含んだようにも聞こえる言葉。
読んだあと、「読んじまった」とだけ発するのは、いったい何だったのか?
本の内容より、むしろその一言がどういう意味か知りたくて、
他の読みかけの他の本をおき、さっそく昨夜から。
そして今日の夜に「上巻」を読了。
いや....「読んじまった」
確かに。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 文庫
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多くの村上春樹作品を読んだ訳ではないけれど、書評などからもあわせて察するに、村上春樹が男を主人公とするとき、それはみな「大人の男」しかなかったではないだろうか?
それが今回この本で15歳の少年となる。
それがどう描かれているか、そんな興味をもって読み始めた。
展開は不思議だ。
そしてシーンは飛ぶ。
最初のうち、混乱しかかるも、シーンが2巡目を迎えると知らない間に、
頭の中にはそれぞれの展開用にパーティションがきられていた。
そのパーティションの中には、読み進むにつれ、どんどんと膨れあがる「世界」がある。
それは互いが全く無関係の世界なのに、それぞれがきっちり膨れていく。
本を読み、頭の中に膨れあがる世界。
それは全く未知、未経験の世界の場合もある。
ひとたびでも経験したり既知の事をふまえて、膨れあがる事もある。
ただでさえ、この本は世界が浮かびやすい。
なのに、途中少年が訪れる高松、そして完全な闇の待つ高知への道。
これらがすべて私には既知の事であったから、あっという間にパーテョションごとの世界に没入してしまった。
この世界があるところで、突然つながるだろうことは予想されていても、なお膨れあがる。
この展開は、そうあの本、
「ダ・ヴィンチ・コード」に類似する。
ただし決定的に違う点、それは「ダ・ヴィンチ・コード」がタイムライン上の「点と点」でつながるだけなのに対し、
この本は「面と面」が融合するようにつながっていく事だ。
上巻の終盤で、いきなり、ある面と面が融合しだした。
この勢いは止まりそうにない。