『風の歌を聴け』

村上春樹の第一作目、つまりデビュー作。

先日の香川出張で、高松空港までの機内で読もうとして、あまりの強風により読めないまま、ずっと鞄にいれて持ち歩いていた。
ようやく昨日の朝、電車の中で読了。
「読了」などとかくと、すでに読んだ事のある方には笑われてしまいそうだ。
あとがきまでいれて155ページの小説だったから.....


「すでに『海辺のカフカ』を先に読んでしまっている」という前提を挙げておきたい。
これは、『風の歌を聴け』の読後の感想やコメントがうまくまとまらない言い訳の1つ。


文体は今とあまり変わらず、読みやすい方で、登場するシーンはさほど驚くべきシーンでないが、これは読んでいるのが今2007年という時代だからだろう。
この作品が最初に発表された1979年の頃を思い馳せれば、それは自分が物心はついたものの、まだ世の中の理を理解できていなかった頃。
群像新人文学賞」を受賞したとはいえ、その評価は非常に大きく別れたのではないかと思う。


あらかじめ前提を書いたが、本書から「海辺のカフカ」まで通じる間に出てくるさまざまな言葉には、まるでこのblogの「キーワード」のような働きがあるらしい。
その事が一番強く感じられた。
最初の作品ということで、その後の作品を予感させる、試験的な文章表現、構成を見ているような気もする。
1つ1つは小説を書くということの冒険に満ちた章であり、物語性は決して高くない。
だが、この後に続く壮大な作品への確実な足がかりになっている。


しかし、どうしても理解しがたい事がある。
この作品の中の登場人物が、私の思い出せる同年代の男性の記憶とは違う。
とても19,20といった年の思考・行動とは思えない。
それは「海辺のカフカ」に出てくる15歳の少年で、さらに顕著だ。
私が同性でない、つまり女であるという事が差し障りなのだろうか?



次は『1973年のピンボール』を読む予定。


風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)




ところで、すごく余談だけれど、このサイトをみて驚いた。

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