迷う楽しみ、休日のブランチ
時折「今日ぐらいはいいんじゃないか」と思う時にやってくる休日のブランチ。
何はなくともシャンパンのグラスを手にしながら、プリフィックスの簡単なランチコースから、前菜とメインとデザートを何にするか、そしてワインを何にするか考える時。
なんともいえない「休日感」があります。
たとえ戻って仕事があったとしても、「この時間だけは私の物」という気持ちで、ふっと日常から開放される時がやってきます。
今日、飲み比べができるワインは、なんとも凄い。
フランス、ローヌのワイン
『2001 Cornas』(コルナス)、
『1996 Hermitage la Chapelle』(エルミタージュ・ラ・シャペル)
『1990 Chateauneuf du Pape Les Cedres』(シャトー・デュ・パプ・レ・セードル)
そして、カリフォルニアはナパの
『2002 Dominus』(ドミナス)
『2003 Clos du Val Cabernet Sauvignon』(クロ・デュ・ヴァル・カベルネ・ソーヴィニヨン)
『2003 Opus One』(オーパス・ワン)
思わず、食指....いや、飲指が動くものの、まだどれも抜栓されていないものばかり。
どう考えても、今栓を抜いてもらいグラスに注がれても、これだけのワインが開くには相当時間がかかりそう。
きっと今あけて、ディナーの時間になんとか?という位なのでしょう。
美味しくいただけないものを頼む訳にはいきません。
私の目の前に並べられたワインにとっては、放置プレイのようなものでしょうが、ここは心を平静にし、抜栓済みの他のワインを持ってきてもらう事にしました。
最初に選んでいた前菜は、
『フレッシュフォアグラとメキシコマンゴーのソテー バニラ風味のアカシア蜂蜜ソース』
(Sauteed foie gras and Mexican mango with vanilla flavored honey sauce)
あまりにも素っ気ない盛りつけで出てきましたが、周囲の透明なソースは蜂蜜をベースにしたさらりとした甘さ。
ナイフをいれると、中から溶け出すフォアグラの脂とソース、そしてさらに、甘いマンゴーの取り合わせは一見、似たもの同士のまやかしになりそうですが、とんでもない。
口の中で絶妙にとけあって、声にならない風味です。
こんなまったりのフォアグラに、さて何にしようと、赤を数本持ってきて並べてもらいました。
こちらはフランスの、いわゆる良い子のお嬢様タイプ。
そして、こちらはカリフォルニアのピノノワール。
悩むところですが、エチケットのシンプルさ、そしてピゾーニ・エステートに惹かれて、
『2004 Lucia Pinot Noir Santa Lucia Highlands』
(ルチア ピノ・ノワール サンタ・ルチア・ハイランズ)
を頼みました。
ピゾーニ・エステートには『ピゾーニ』というワインが歴然としてあるのですが、これはその息子が担当したセカンドワインのようなもので、エチケットも『ピゾーニ』と同じようなエッセンスで黒地に明るい緑色の「Lucia」という文字が冴えています。
この取り合わせは間違いなく、一口含むと脂の広がった口の中を優しく流し、そしてまた次の一口に新鮮な感激を与えてくれます。
ところが......
サービスでお試しくださいと、これが小さいグラスで出てきました。
『2004 Noble One Botrytis Semillon』
(ノーブル ワン ボトリティス セミヨン)
これをみて、思わず「えっ?!」と声が出ました。
なぜかといえば、これは(ちょっと変わって、オーストラリアの)セミヨン種をつかった極甘口の白ワイン、つまり「貴腐ワイン」なのです。
ドイツのアイスワインとはまた違う、香りが高いワインですが、ただでさえフォアグラ、マンゴー、蜂蜜という取り合わせの甘い料理に、いったいどう合うのでしょう?
半信半疑で口に含むと、これまた絡むような甘さではなく爽やかささえ感じる果物の香りがし、さらに蜂蜜の風味もあり、三種の融合にさらに一つそれらをまとめてつなぎ合わせてしまうような含みを持っていました。
ワインの楽しみは、いつもこんなところにあります。
2皿目のメインは、
『北海道産ホタテとマッシュルーム ズッキーニのカネロニ風 ソースクリュスタッセ』
(Scallop, commom muchroon and zucchini canelloni with crustaceans sauce)
出てきたいきなりの香りは、エスニック。
香草(パクチー)やハーブ類の香りと海老の濃い香り、そしてナンプラーのような発酵食品の香り。
東南アジアを何度も旅した人であれば、「ああ、あれか」と思うようなあの香り。
プールサイドのレストランで昼に出てくるランチのような、あの香り。
これに合うワインは難しいのです。
お任せで「合うものを」と頼みつつ、何を持ってくるか想像してみると、堅いところで「シャブリ系」、またはちょっと弱いけれど「サンセール」、無敵の「ムルソー」このどれかかと。
果たして出てきたのは、これ。
『2004 Meursault Les Narvaux』
(ムルソー・レ・ナルヴォー) M. Coutoux
これは野球でいえば直球勝負のようなものです。
先のワインが「融合」であれば、これは「ちからずく」。
思わず、これを選んで持ってきたソムリエールの性格が判ってしまいました。
デザートは、カプチーノとともに、
『洋風くずきり フレッシュイチゴのソース』
"Kuzukiri" with strawberry sauce
どこがどうくずきりだったのか、謎のまま食べてしまいました。
最初から写真を撮るつもりはなく、ついついまた携帯電話のカメラで撮ってしまい後悔....
どうしても接写に弱くピントがあいません。
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