柏崎『和夢焼(なごむやき)』と登り窯
昼までの授業がすんだあと、模型に興味のある学生を連れて市内の模型・パース制作をしているT橋さんという方の所を訪れました。
あちこちで模型をみる機会もそこそこある私でさえ、緻密な工場の模型にはびっくりでしたが、普段学校の課題で「ま、いっかぁ」で模型をつくっている学生には、実際の仕事での模型がどんなものか、目の当たりにしてかなり印象強かったようです。
おまけに目も輝いて、かなり夢中になりそう....
「10分で適当なものをつくるなら、1時間かけてでもきっちり正確なものをつくって欲しい」という言葉、ちゃんと耳に入っているといいのですが。
さらにそのあと、柏崎にある『夢想山 工房 和夢(なごむ)焼』という大きな登り窯をもつ場所へ連れていっていただきました。
ここは『夢想山(むそうやま)パーク』という、施設内にある工房で、陶芸教室を行っている他に、電気窯や18mもある登り窯があります。
昼の時間も過ぎていたので、まずはランチから。
工房の手前にある田舎いろり料理の店『隠れ味乃』へ。
それぞれが数人ずつ座れる掘りごたつ式の個室で、とても落ち着き、おもわず(いや、本当はすごく悩んで)『銀の翼』という日本酒を一合だけ注文。
これは地元柏崎にある「越の誉」が造っている地元限定のお酒のようです。
辛口ですが、口の中でピリピリとせず、柔らかい飲み口で、いわゆる「飲み過ぎ注意酒」です。
そしてこのお酒とともに出てきた突き出しがこれ。
枝豆、椎茸の煮物、そしてイカをキムチ風の味付けでつけたもの。
色目も綺麗な肴がちょこちょこと出てくると、日本酒好きにはたまりません。
そしてこの器、なんともいえない良い雰囲気をだしていますが、
器によく目をやれば、これは実は大きな壺を焼いた際に割れた欠片(かけら)。
枝豆のすぐ上のあたりの丸みを帯びた部分が、壺の口なのです。
それぞれが趣ある、でも素朴な器に入ってでてきた食事。
さらに、鰯、そしてハチメ(目張)のお刺身から、
太刀魚の焼き物までついて、大満足でした。
さて、食事をゆったりとったあと、工房へと足を運びます。
この傾斜地に這うようにたっている建物が、工房と登り窯です。
足を踏み入れると、土の香りがしてきました。
私は今まで普通の窯は見たことがあっても、登り窯を目の当たりに見るのが初めて。
まるでケーブルカーの駅のような階段状の脇には、沢山の薪が積まれています。
写真の正面手前は窯の最上部で、ここから最終的に煙りがあがります。
なにかアニメに出てくる不思議な生物が横たわっているような.....
窯はそれぞれ小さい部屋に区切られています。
たまたままだ何も入っていない真っ暗な中に、ストロボを焚いてとってみました。
もう1つ、別の小部屋。
なにか古代の遺跡をみているような気もします。
登り窯の一番下から上を望むと、大きさを実感します。
照明をつけて、丁度中に焼き物をつめている所でした。
まもなく年に2,3回ある窯焚きの1回があるようです。
3,4日もの間、窯の各室の穴から薪をいれて火を絶やさずもやし続けてやきあげる間は、交代で番をし、
特に責任者の方は火加減から火災の心配まで含め、日に2,3時間しか眠れない日が続くそうです。
焼き上げたあとは穴をふさぎ、自然に冷めていくのを待ち、そして待望の作品取り出しとなるそうです。
学生達のつくった作品も、手前には並べられていて、窯に入るのを待っていました。若い学生達の作品は、可愛い動物や灰皿、小皿といったものが多いですが、みな焼かれて出来上がるのを楽しみにしている事でしょう。
工房の中に並んだ器の中から、私の好きな備前に近い感じの、片口風の器と、杯にもなる器を買って帰りました。
中に何も入っていないと、寂しいですが、まずは熱湯で30分ほど煮沸して、糸じりを綺麗にならしてからです。