大和路塔巡り(その8)『奈良町界隈、そしていったんおわかれ』


奈良ホテルでお茶を飲んだあと、昼からの用事があるというM本さんに、奈良ホテルを出てから十輪院前まで送っていただきました。
この後は私が14時45分奈良駅前発の空港バスで伊丹に向かうという予定が決まっていたので、その時間までにランチも含め散策がでいる場所ということで「奈良町」界隈を歩くことにしていたからです。


奈良町(正式町名に「奈良町」はない)と呼ばれる一帯は江戸時代頃の街並みがまだ残り、路地に面する店は格子戸があったり、虫籠窓と呼ばれる窓のある家など、ゆっくり散策するにはとても良いところです。ですが、ここを案内する私も初めて、しかも食事をする場所も特にきまっておらず、駅までどの位をかけて2人を連れて歩けるかが判らないため、少々焦りぎみ。




事前にマークをしていた見所の「奈良町物語館」も「ならまち格子の家」も「奈良町資料館」も、月曜日とあって定休日。
せっかくの機会でしたがどこも入ることができず、街並みの間をぶらぶらと歩きました。




途中、シルクの布を探しているというサンちゃんのために、和風小物の店に数件立ち寄りましたが、どうしてもサンちゃんが見つけようとしているものがありません。というより、サンちゃんが欲しいと思っているものが、判らないのです。店の人もあれこれ想像して出してきてくれるのですが....
話を総合すると、どうも「壁に貼る布で、タペストリーほどは大きくない」かといって「和風柄のハンカチや風呂敷でもない」。見本か写真でもあればいいのですが、どうにも判らず終いでした。奈良に来る前に京都に数日間滞在しているので、おそらくそこで見つけていないということは無いという事でしょう。


サンちゃんはダビどん(David)へ抹茶のお土産を買うといってお茶屋さんにも寄りました。抹茶のお値段は本当にピンからキリまで。安いものは50g200円ほどで、高級品ともなれば1万円近い物まで。
その値段差にサンちゃんも驚いていましたが、お店のおばさんが「普段のむのにお土産ならこのあたりが大丈夫ですよ」というお勧めの2品をみて100g入りの缶を2つ(1つは自分用)購入。
そして茶筅(ちゃせん)も欲しいというのです。
店のケースに飾ってある茶筅は1本3,000円以上もする、正式なお茶会用のもの。するとまたまた店のおばさんが「ちょっと訳あり品だけど普段自分でつかうならお安い物があるから」といって奧に入っていきました。
出てきたのはわずかながら、小さい擦り傷があるか(ないか光線の具合ではわからない)のもので、サンちゃんも納得。1,200円で買うことができました。判らないからといって高い物を売りつけてしまわない、そんなところが街中の店のいいところですね。


さて、「元興寺(がんごうじ)」を目指していたのですが、「元興寺跡」は判ったものの、歩いているルートから「元興寺」のすぐ西を歩いていたのに入り口が一向に現れません。有名な「行基葺き」の瓦屋根を見たかったのですが、結局残り時間も不安でみないまま、たまたま通りかかった天ぷらの店にランチを食べに入りました。


サンちゃんは「天ぷら盛り合わせ!」そして「ビール!」 御飯はいらないかと聞くと、要らないのだそうです。
ヨリちゃんは「天丼」がいいといいます。



私は奈良のお蕎麦がどんな風か気になったので、蕎麦と天ぷらのセット。そしてサンちゃんにつきあって「ビール!」
普段はあまりビールを呑みませんが、喉が渇いていたのでことのほか美味しいビールでした。食べたお蕎麦はどちらかといえば、色の黒いでも細めの田舎蕎麦風ですが、汁は関西風とは違う濃いめの色のものでした。




食事のあと、さらに今御門通りという狭い路地を北上、すると目の前に昔懐かしい景色が目にはいってきました。




「猿沢の池」、そしてその池の向こうには朝のうちに見ていた興福寺五重塔
今朝みたのと同じ塔だと説明しましたが、二人には判ったでしょうか。きっと帰って写真の整理をしながら「あれ?」っと思っているに違い有りません。このアングルでまたまた高校の時の修学旅行を思いだしました。ただその時の記憶では「猿沢の池」はもっと大きかったようなのです。
すっかり木の茂っている今は五重塔のうち、上3層分しか屋根が見えませんが、建設当時はきっと池から全体がよく見渡せたのではないかと思います。



ここから駅までは三条通りを歩いて約1km。時間もおしてきたので二人に説明し、駅へと向かいます。彼らは私がバスに乗ったあと、宿泊していたホテルに預けていた荷物をとりに戻り、それからその日の宿泊地、広島へと向かうとのことでした。
駅のロータリーで空港バスの乗り場と時間を確認し、35分ほど時間があったので、少し戻って三条通りの商店街のプロントでお茶。
またまたサンちゃんの目はケーキへ。
ダイエット中(だと思う)ヨリちゃんの目も気にせずに「モンブラン」を注文して満足そうですが、このあともうすぐにお別れしないとならないので、心なしか寂しそうでもあります。




バスの時間10分前に店をでてバス乗り場へ。そこで今回あうことができなかった関西の知人に電話をし、サンちゃんと短いお話をしてもらいました。私は戻ってからすぐに東京近辺のお客さん達に連絡をし、彼らが横浜にもどるという31日に再び会うことになっていたので、いったんここでお別れです。


その1からその8まで、随分長い日記になってしまいましたが、よくよく考えてみれば私が奈良駅に着いたのが11時半すぎ、そして奈良駅を発ったのは翌日の午後2時半すぎですから、奈良での滞在は眠っている時間も含めて約27時間。わずか1日と3時間の事でした。
でも、今もblogをみながら思い返せば、なんと中身の詰まった充実した27時間だったでしょう。
普段の何倍も笑った27時間だったでしょう。
彼らのもっている根からの明るさもそうですが、一重に今まで全く見知らぬ人だった彼らのために奈良を案内してくださったM本さんあってこそ。
本当に感謝の大和路ツアーでした。



大和路塔巡り番外編「室生寺にて」に続く。