街の様相シリーズ〜12『師走28日の芝浦・渚橋より』
年もいよいよ押し詰まり、今日は御用納め・仕事納めの多い金曜日だった。
10年近く前にCGクリエイター諸氏と組んだユニットがあるが、その懐かしい仲間と忘年の宴があり、三田から芝浦方面に向かった。以前の田町駅南東側は反対の三田側とうってかわって、倉庫街のイメージが強い場所だったが、三田駅からの線路横断橋とそれに繋がる道路が整備され、飲食店が並ぶにぎやかな通りになった。
その通りを田町駅に向かう人の流れに逆行しながら芝浦方面へ向かう。
途中に、運河にかかる橋がいくつかあるが、ここはそのうちの1つ「渚橋」。
普段であればもっとビルの灯りもともり、明るい光が運河の水面に写りこみ、活きている街の様子が感じられるのに、今日のここはとても暗い。
雨を運ぶ風の香りを感じながら、どうしょうもない寂しい気持ちでこの橋を渡った。
帰り、この橋の上は横殴りの雨にさらされる冷たい場所になっていた。
雨に濡れて凍えて、寂しい気持ちまで凍結されてしまった。
久しぶりに会った顔は懐かしく、10年近くでもほとんど変わっていないのに安心し、宴の途中で先に帰る事の寂しさもあってか、足を速めても速めてもなかなか橋を渡りきれない感じがした。