築210年以上、豪雪と大地震を経てもなお、存在する守門(すもん)の『目黒邸』(国指定重要文化財)


栃尾から国道290号線を南下、只見線の走る上条という駅付近にでます。ここからは破間川という川沿いにやや開けた場所が続き、越後川口にむかって、越後須原までいくと、「目黒邸」という国指定重要文化財の豪農の屋敷があります。
このあたりは以前は守門(すもん)市といいましたが、市町村合併で今は魚沼市の一部となっています。


駐車場で車を降りると、木立の奧にちらりと見える建物。すでに時点でその建物の壮大さ、茅葺き屋根の重厚さに驚きの声があがってしまいました。
家自体の建造は1797年(寛政9年)、ここは山古志、魚沼、栃尾からもほど近く、先の中越地震の際は、震源至近で震度6以上で揺れたはずです。
多くの建物が破壊されたにも関わらず、ここにこうして存在するということのすごさ。
最近の建築構造の諸問題や100年住宅と呼ばれている動きの中、


「210年も前の建築の家が豪雪や大地震に耐えて、現存する」


というこの事実を改めて認識しなければならないのではないでしょうか。
中に入って、上を見上げたとき、圧倒される剛健な、しかも無駄のない小屋の造りに
いま、色々ととりざたされている動きは、もしかしてなにか方向違いに力を使っていないだろうか?
そんな疑問とともに、おもわずため息ができました。



新潟には豪農や庄屋だった邸宅があちこちに一杯ありますが、ここ目黒家はもともと戦国大名会津蘆名(あいづあしな)氏に使え、その後帰農した豪農とのこと。
安永年間(1770年代)の段階では「所持高140石余、造酒200石、奉公人20人」ということですから、その規模がうかがえますね。
その後、子孫も新潟県知事や帝国議会衆議院議員を代々勤めていたそうです。


中にはいって見てきました。
外観もスゴイけど、中もすごい。
ケタ行き方向16間、梁間方向6間。古民家はいろいろ見ているほうですが、こんな規模の家は初めてです。


表からでは判りませんが、この背後は曲り屋のようになっていて、プライベートな部屋、さらにその奥には
池と数寄屋の茶室まであります。
裏手には味噌蔵、酒蔵も。



独特の千鳥破風とその軒先のカットの仕方です。(住宅内の展示パネルより)



新潟県内で初めて自動車(乗用車)を購入した家だそうです。
そしてこの古い家は最初から、いちはやく電化したそうです。
「内間」の壁面にあった配電盤。
電力計、電流計、そして各所へのブレーカー。








この建物は浅野裕子や松方弘樹の出ていた「蔵」という映画のロケにも使われたそうです。



国指定重要文化財『目黒邸』


http://www.city.uonuma.niigata.jp/megurotei/


公開時間/9:00〜16:30 (12〜3月は16:00)
休館日/年末・年始 (資料館は12〜3月まで休館)
入館料/大人300円、小人100円 (資料館共通券 大人500円、小人100円)
所在地/〒946-0216 魚沼市須原892
問合せ/025-797-3220 (目黒邸管理事務所)、
    025-794-6073 (生涯学習文化財係)





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