「何もしない」をしに行く5『オーベルジュ コムニ』の朝食


その4からのつづき


前夜のディナーは8時から、そしてゆっくり時間をかけて10時まで。
その後は部屋に戻って、さらにちょっと読書をしたり、嬉しくなってつい親しい友人に画像付きの携帯メールを送ってみたり。
これといって何をするということもなく、ただのんびりゆったり。
窓の外はすっかり闇の世界となって、わずかに牧草地の木数本がライトアップされていたのを覚えているが、それもなんとなくの記憶。
何も考えず、気が付けば布団の中で夢の世界に入っていたようだ。


食べて眠っただけの朝、朝食の時間は9時。
ああ、これも幸せのゆったり。


すでにほとんどの人が食べ終わったあと、最後に1組が残っていたが、窓外のよく見える席に一人用のテーブルセッティング。
目の前にみえる空も緑も朝食のうち。
テーブルに置かれたミルクとフルーツジュースのデカンタが嬉しい。



最初のプレート、またはお盆。
野菜たっぷりのカップスープ、沢山の種類の野菜サラダ、コンフィチュールの添えられたヨーグルト、そして果物。



スープを味わい、サラダを食べ終えた頃、もう1枚のプレートがやってくる。



サニーサイドアップ(目玉焼き)に、沢山の野菜やベーコン、そして帆立のソテーが添えられたもの。
玉子の下にはなんと自家製ハムが隠れていた。



ディナーでもそうだったが、ここの御料理には野菜が主役?かと思うほど、ふんだんに添えられてくる。
このプレートの野菜の中でも、特に目立ったのが「蕪(かぶ)」。
それも1種類ではなく、何種類もの蕪が皮のまま、それぞれの色も鮮やかに使われている。



左から、黒かぶ、赤かぶ一種、赤かぶの一種、白かぶの4種。
名前は判らないが、どれもかぶの仲間で、それぞれ歯ごたえや味が違う。
共通するのは「土」の香り。


最近はいろいろな作物を食べていると、あまり手をかけ味をつけたものより、さっと簡単に調理し、味付けも塩少々など素朴な方法で食べる野菜がとても美味しく感じているが、このときに美味しいと思う根拠が「土」の香り。
それが感じられない野菜は残念ながら、食べることで自分に力を与えてくれないと思うのだ。



その6へつづく