街の様相シリーズ〜16『視界から消えていく滑走路、そして東京湾』


長く続いた雨模様の天候も、やや落ち着いたのか、久方に快い青空が広がった。
積乱雲。
それは忘れられそうになった夏があわてて象徴を振りかざしているようだ。



14階自宅ベランダからの景色は、建物自体が高台にあることもあって、実際には20階相当の高さかもしれない。
南に向けば羽田空港、そして東京湾が見える。
さらに天候のよいクリアな時には対岸の君津付近から房総半島の先端近くまで眺めることができる、ちょっとしたお楽しみもある。


ところがここ1,2年の間に空港と自宅との間に、巨大な建物が次々とできてしまい、それまでは離発着のために自走するジェット機さえ見えていた滑走路の大半が見えなくなってしまった。
入港待ちをしている船舶が停泊する東京湾も、見える範囲が狭くなってしまった。


それはまるで、滑走路や東京湾が徐々に消滅していくようにさえ思えてしまう。