エレベータ点検の賜物『階段を下りる』
外出から荷物を置きに、一度戻る。
エレベータ前に立つと....ああ、忘れていた。
今日のこの時間はエレベータ定期点検で使用できない時間だった。
標高差50m以上を重たい荷物とともに、上がる。
ひたすら上がる。
どんどん上がる。
なぜか高校の時、山岳部がリュックにブロックのカタマリをいれ、学校の階段をせっせと上り下りしていたのを思い出す。
そんな事に力を使いたくないのに、なぜかいろんな事が頭にうかぶ。
丁度半ば頃、一番辛い。
とにかく上がる。
部屋に入って、ほっと一息。
荷物を置き、きびすを返すかのように、再び今度は階段を下りる。
ああ、これから荒れ模様となる空。
女子校からは体育の授業の賑やかな歓声が聞こえる。
紅葉がすすみ、街全体がうっすらと赤茶色くみえる。
それにしても下りは辛い、登りより辛い。
足が地につくまで体の前体重を片足の太ももでささえるのだから。
そして、同じ方向にグルグルおりれば、目が回る。
踊り場で逆開展して、目が回らないようにしなくては。
踊り場、そうだ! と思って、携帯電話で下界を撮った。
広い世界が徐々に狭まり、地上ともなれば、目前にそびえる建物やビルの間に、自分が挟み込まれたような錯覚をする。
同じ場所で、高さをかえた視点から物を見ることは、意外な発見があったりもする。