黄金色への豹変『茨城の丸干し芋』


突然、全く違うものに変わってしまうようなこと著す言葉に「豹変」があるが、最近は良くない方向に変わることや、変わり具合の急さを非難することに使われている。
ところが語源はといえば、

「君子豹変、小人革面(君子は豹変す。小人は面を革(あらた)む」(易経


によるもので、君子が過ちを認めて(豹の毛が生え替わるように)速やかに正すことから来ているらしい。


温暖な人だと思って話をしていたり、盃を重ねていると、突然豹変して横暴な人となるような豹変は私は体が固まって動かなくなってしまうほどとても嫌いだが、本来の意味で豹変という言葉を使えるなら、そんなに良いことはない。



今回の「黄金色への豹変」はまさに美味しい豹変だ。
例年のように水戸のH川さんからありがたい特産品の贈り物をいただいている。
今年もしっかりといただき、季節の到来を感じている。


それは何かといえば、例えようのない薄黒い色をした得体の知れないもの。
知らずにみれば、これは植物なのか動物なのかすら一瞬考えてしまいそうだ。




ところがこれをオープントースターの網に並べ、中温で数分間焼いていると、
香ばしい香りがしてくる。
表面はうっすらと焦げ色が付き、黄金色に豹変する。




火傷しそうなアツアツの固まりを裂いてみると、中からは湯気とともにしっとりとした甘い香りが立ちのぼる。
さつまいもを薄くスライスした干し芋は見かけることが多いが、これは丸のままを乾燥させた丸干し芋。
気温がぐんと下がる年明けでないとできないということだ。



このシーズンも「H川さん、ごきげんよう、ご馳走さま」と言いながら、寒い夜の温かな糧となる。






昨年もこの豹変はとても美味しかった。
「自然な甘さにうっとり、茨城の丸干し芋」