携帯メール


一日、何も考えられずに、ただぼっーと座って雑務を片付けていた。
もう外からのものは何も受け付けず、このまま消えてしまいそう...
そんなことを思いながら。
目が疲れてきた夕方、携帯電話に見覚えないアドレスからのメール着信。



句読点もない、ひらがなだけの一行。
従兄弟の子供でも悪戯して送ってきたのかと思ったが、
アドレスの中にあった数字をみて、誰だかわかった。



母からだった。
はじめて携帯電話から送ってきたメール。



機械やガジェット大好きな私と全く逆に、機械苦手な母。
ATMが普及しだした頃、お金をおろす方法を教えようとして、ATMの前まで連れていったけど、
「嫌だ」と。
「なんで?」ときいたら、
「電気が通っている機械をいじると感電しそうだから」と。


そんな母でも街から公衆電話が消えてしまい、外からの連絡ができないと困るだろうと、
極力簡単な携帯電話を持ってもらったのが、今から3,4年前。
なんとか電話だけはできるようになり、メールを見ることだけもできるようになったが、
文字を打つことはできないといってずっと避けていた。
どうやら叔母(母の妹)達が携帯メールでのやりとりを初めて、自分もたまらなくなったらしい。