街の様相シリーズ〜13『夜の成田山新勝寺』


最近、なぜか夜の寺院に詣でることが多い。
世間一般では、たいがい神社仏閣に詣でるのは朝早くか午前中、せいぜい日の高いうちというのが常識かもしれない。場所によっては夕刻になると門を閉ざしてしまうところもあるのでなおさらだ。
同じお賽銭をあげるのに、寺院は閉門があり、神社では24時間自由に出入りが可能なところが多いが、なにか訳でもあるのだろうか。太古から日本固有の神様はおおらかだったので、いつでもお詣りを歓迎してくれているのだろうか。寺院は僧兵の時代など、政治的な拠点などとなって夜間の警備が必要となり、閉門という仕組みが出来たのだろうか。


そんな疑問にはきっといつか誰かが答えてくれるのだろうと思っているが、同じ寺院でも本堂の扉は閉ざすにしても、敷地内には何時でも自由に受け入れてくれる処がある。浅草の浅草寺などもその一つだ。浅草で宴席にお邪魔することが多いためか、夕刻に出かけてシャッターのおりた仲見世を通り、浅草寺にお詣りすることも月数度とある。
近くまでくれば、かならずお賽銭の一つをあげてお願い事をし、詣るというのが習慣のようになっている。




この晩、所用で成田に来ていた。
成田というと新東京国際空港のイメージばかりで、訪れたことのあるのも空港ばかり。『成田山新勝寺』というお寺があることは良く知っていても、実際に目にしたこともなかった。
建築的には大本堂が吉田五十八の設計であることと、総門が昨年11月に完成したということで非常に興味もあったのだが、お恥ずかしい話、新年の初詣と節分会での豆まきの様子をTVの映像でみている位だった。


この機会を逃すとまたいつ見ることができるだろうか、ということで夜9時近くではあったが、地元のH山さんに総門から大本堂、三重塔、鐘楼、一切経蔵など境内を案内をしていただいた。


前日が丁度節分会であった名残のある門前の広場をぬけると、そこには完成したばかりの檜の香り高い「総門」があった。
すべて100%檜造りというその総門は、木肌もまだ新しく、建造物としての初々しさを感じる。
さらに仁王門をくぐり、急な階段を上り詰めると、正面には大本道、右手に三重の塔といった数々の伽藍が現れる。


夜の伽藍はまた別の意味で荘厳だ。




重要文化財の「三重の塔」細部は暗くてよく見えなかったが、垂木はきらびやかな板軒の軒裏となっている。組物は三手先で、すべての尾垂木の先には竜の首がついている。唐戸にはレリーフが組まれている。
どれ一つをとっても、気になるところだ。となれば、まだまだ他の建物にも沢山興味深いことがああるはず。



不動明王を本尊として祀る「大本堂」の周囲の壁には著名な彫刻師の彫刻が施されているという。ひとまわりして肉眼ではみたが、写真は保護網とストロボで潰れてしまって手元に残せなかった。


改めて明るい時間に、ゆっくり訪れてみたいものだ。




大本山成田山新勝寺


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千葉県成田市成田1番地  
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