帯広・香林(かりん)農園のウオッシュ・チーズ『キロンヌ』の出来に驚く


以前は北海道へ出張をしたり旅すると、きまって海産物を買い込み、行商の荷物のようにどっさりと持ち帰ったりしていましたが、ここ1,2年は乳製品を買って帰ることが多くなりました。新千歳空港には沢山の売店が並び、店によって多少の違いがあるものの、道内各地の農園からのバター、チーズも並んでいます。
ただ、今まで購入してきたものは、おしなべて言うと「万人向けの良い子のチーズ」。
ブルーチーズなどはあっても、クセが少なく誰にでも食べられる味わいで、言い換えれば若干風味にかけて、ちょっと物足りなく思っていました。


ところが先日の帯広空港で、ふとみた冷蔵ケースに、見た目にもなんとも惹かれるチーズを発見。
思わず手にして、レジへと。


そのうちの1つが、この香林(かりん)農園の『キロンヌ』でした。




ウオッシュチーズですが、マールではなく赤ワインで洗っているとのこと。
どうりで表皮がちょっと黒っぽいのはそのせいだったようです。



実は空港で購入した際に「保冷剤をいれたパックに入れて欲しい」と頼んだ時、売店のレジの方は「これは大丈夫だよ」と何気ない顔をしていうのです。
でも、戻る東京はすでに連日33,4度を超える猛暑。そして空港から自宅まで1時間以上の移動があるとなれば、これは何がなんでも冷やして持ち帰らなければなりません。
まして、ウオッシュなのです。
案の定、帰りの機内では保冷バッグにいれたにも関わらず、ちょっとでもバックを動かすと、あの妙なる芳香(人によっては異臭、悪臭)が香ってきました。
隣の席の見知らぬ方の顔色をうかがいつつ......
また、羽田に着いてからは鞄の中に詰め込んで持ち歩きましたが、帰って鞄を開けた途端、鞄の中一杯に詰まっていたかなり濃厚な香りが立ち上がりました。


しかし、これは期待をふくらませるのに十分な出来事。
ゆっくり食べられる週末のために、冷蔵庫へといれてありました。
賞味期限は偶然にも7月26日、今日でした。


さて、包装をとくと....



目の前にこれがドンと出てきたら、まず食べられないと思って捨ててしまう人が大半でしょう。
そう思っても罰が当たらないような、強烈な酪酸臭です。
何に例えれば良いでしょう、いや、例えなくてよい、と言われそうな香り、むしろ、臭いです。


少々もったいないとは思いつつ、カビに覆われた表皮をナイフで剥いでいくと、中からはきっちり熟成した柔らかなチーズが現れます。



お供はモダン・ボルドー
『CHATEAU LAMARTINE 2005』(シャトー・ラマルティーヌ)
本当はもっと渋い赤でも良かったのですが、暑いこの時期、すこしだけ冷やして美味しいこんな赤もいいものです。



ちょっと口の中がぴりりとしてきた頃、今度はアカシアの蜂蜜を添えて。



輸入物のチーズによくある塩味の強さはなく、まろやかで良くできたチーズでした。
今まで空港売店で買ったチーズの中では、物足りなさを感じていましたが、これは驚きの良い出来具合でした。


実は香林(かりん)農園のチーズはもう1つ買ってきてあります。
それはまた次の週末のお楽しみです。