屋久島の宿『苺一笑(いちごいちえ)』の夕食


さすがに早朝に鹿児島をでて、高速艇トッピーで宮之浦港へ、そしてレンタカーで島を一周は疲れが出ます。
運転してくださったHさんはもっとお疲れになったと思いますが、この島で観光をしてあるくとすれば、自分でフェリーで車を持ち込むかレンタカーで回るしかありません。


レンタカーに給油をし、泊まる予定の宿に乗り捨てで構わなかったのですが、宿近くになってレンタカー会社がみえたので、そこへ立ち寄ると、今度はまた気持ちの良い女性スタッフの方が運転席に乗って車で宿まで送ってくれました。
といっても泊まる宿は、空港のすぐ近く。目と鼻の先でした。


宿の様子は後にして、一休みしたあとの晩の食事から。


1階の玄関を入ると広いロビーを兼ねたダイニングがあります。木を沢山つかった気持ち良いスペースで、夕食時間に行くと、小さい黒板にその日のメニューがさりげなく書かれていました。


まず出てきたのは『つわぶきのおかか和え』
翌朝が早く、山中を長時間歩く(その時点ではそう思っていました)ことになるのと、鹿児島入りする前から仕事の事もあって抱えていた頭痛で、あまりお酒を飲もうという気分になれず、ビールを1杯、おつきあい程度にいただくことにしました。




『オボソのサラダ風』
おそらく鰹に似た「スマ」のことだと思うのですが、たたき風に薬味と一緒にタレをかけたものが出てきました。
脂も適度にのって、美味しいのですが、本当にごめんなさい、これだけは完食できませんでした。
魚自体はとても美味しいのですが、鹿児島の甘い醤油をつかったタレが最初から全面的にかけられているので、どうしても2/3ほど食べたところで、甘くて入らなくなってしまったのです。


甘い醤油でも、お刺身のように自分で醤油をつけて食べるものは調整しながら食べることができるのですが、最初からとなるとどうにもなりませんでした。




『芋もち団子のそぼろあんかけ』
さつまいもや紫芋をつかった、見た目も綺麗な芋もち団子に、あっさりした鶏そぼろ餡がかかっています。
芋もち団子の素朴な甘さと、もちもちとした食感がとても美味しかったです。




『豚骨の味噌煮込』
骨付き豚肉を味噌仕立ての汁で、ジャガイモ、人参などと煮込んだものですが、豚肉は沖縄のソーキに近く、また、味噌仕立ての肉じゃがにも近いものでした。
長ネギをちゃんと炙っていれているあたり、相当研究熱心でお料理好きな一品かなと思います。




『トビウオのサネン菜包み焼き』
島の特産品の1つがとびうお。高速艇トッピーの名も、このとびうおからきている程です。
サネン葉(月桃ゲットウの葉、沖縄ではサンニン)は沖縄でも使われている野菜、というか、香辛料にしたり葉を包み物に良く使うのですが、防腐効果があることから、ちょうど笹の葉にくるむのと同じような使い方なのかもしれません。




サネンの包みを開いてみると....トビウオの切り身を味噌にからめたものが蒸し焼き状態になっています。
もともと青魚が好きな私はこれでだいぶ調子をとりもどし、地元の焼酎「愛子」のロックを少しいただくことになりました。



次に出てきたのが『春菊のサラダ』
「しゅ、春菊?!」と思わず構えてしまうほど、私は鍋物の春菊が苦手。ところがこの生の春菊は、あの独特の風味はあるもののシャキシャキとした新鮮な歯触りで、食べていて小気味よいほどなのです。かけられていたドレッシングとカリカリにやいたベーコンも香ばしく、食べ出したらなんとやめられずに一気に完食。
これには自分でもビックリです。
食べている途中でよく見れば、葉の形が少し違う春菊も混ざっていました。


実は夕食の前にたまたま苦手な食べ物を話をしていて、そこで「春菊」を話題にしていたばかり。
本当に新鮮で美味しい春菊は、あの鍋の中で脅威をふるう春菊とは別物のようです。
近くに借りている畑で作っているそうです。




『山菜類の天麩羅』
さつまいも、タラの芽、アシタバなど...




『ちゃわん蒸し』




真鯛夜光貝のお刺身』
実はこれは後から宿に入ってこられた方が、釣り上げたばかりという魚をもらってきたもので、あとから厨房でさばいて、お裾分けをいただきました。
夜光貝は大型の栄螺のような形で、綺麗な殻は磨いて高級なボタンにもなります。
火を通すとかたくなってしまう身も、生では歯ごたえは残しつつも美味しいお刺身です。




もうおなか一杯!というところで御飯。
『もちきびごはん』『パパイヤの味噌漬け』そして『えび団子のすまし汁』
ごはんにきびをまぜて焚くのは良くいっている沖縄の離島でも同じでした。



すまし汁ですが、中にはいっている素麺が黄色いのです。蜜柑の風味がする、たんかん素麺。




デザートはやはりこの島の特産品の「たんかん」をつかった『たんかんゼリー』




オーナーである奥様のお料理の腕には脱帽です。
そして、紹介していただいた方がお勧めしてくれた理由も良くわかりました。
さらに、レンタカー会社の女性達が「あそこはお食事がとても美味しいんですよ!楽しみですね!」といっていた理由も良くわかりました。


おなかいっぱいで、明日の朝まで良い夢を見られそう...



『苺一笑(いちごいちえ)』


〒891-4207 鹿児島県熊毛郡上屋久小瀬田832-22
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