原村・阿弥陀聖水


八ヶ岳の麓は美味しい湧き水の宝庫、特に南側の山麓には名水百選に選ばれている有名な湧水も多いのですが、
山梨から長野県境をこえてすぐ、丁度八ヶ岳の西側に位置する諏訪郡原村。
そこにも地図に載っていない美味しい湧水があると聞き、向かってみました。


中央高速道ならば小淵沢ICをおりて、また、中央高速道をつかわずに、20号線を日野春付近から、七里岩ラインという崖上を走る道に入り、そのまま北西に小淵沢を目指して進み、さらに八ヶ岳鉢巻道路と呼ばれる道(484号線)を進むと、途中で立場川という川を越えます。
そこからさらに少し、右手にグリーンプラザホテルを見たら、気をつけて走ると、左折で「八ヶ岳自然文化園」という看板のある十字路があります。
そこを右折すると丸山地区別荘地の外周を走る細い道になります。
途中干そうが途切れたりもしていますが、それでもなお車を進めると、林の中のY字路に出くわします。
左はゲート(通行止め)付き、そしてそこを右手に入っていくのですが、さらに道は車の轍で掘り下げられたり、小岩が出ていたりと、悪路となります。
普通車で入っていけない道幅ではありませんが、車の底を傷つける可能性は大あり。
4WD車でなければ、そのY字路脇のやや広くなった場所において、そこからは歩くのが良いでしょう。
(もちろん、大きなポリタンクに水を汲んで帰ろうというなら、心して車で進むしかありません。)



周囲は晴れていたものの、ここまで来ると薄い霧がまき、ひんやりとした林の間の道を歩くこと、わずか200mほど、ちょうどヘアピンのように大きく曲がる突き当たりに、その湧水はありました。



阿弥陀聖水』
地元では、大曲清水とも呼んでいるようです。



小さい沢の傍らの土手から、樋をつたい勢いよく湧水が噴き出しています。
手をいれてみると、想像以上に冷たく、一口のんでみるとそれは、ビールの適温ほど。
おそらく7〜8度ではないでしょうか。
八ヶ岳への登山道の入り口も近く、この湧き水はまさに八ヶ岳からの湧き水。
堅すぎもせず、甘いまろやかな水です。



近くの喫茶店やペンション、別荘に泊まりに来た人達、そして登山者の方がこの水を汲んでいくようです。
帰ってからこの『阿弥陀聖水』を調べていると、以前の湧水の写真が載っている「富士見高原・ペンション・ラクーン」のサイトがありました。

 

原村の原山地区にある別荘地の奥にある湧き水。鉢巻道路から約3.5kmほど細い道を走るので、こんなところに本当にあるのかな?と少し不安になってしまいます。湧き水の横には水質検査の検査表もあり、安心して飲むことが出来ます。ちょっと検査表の検査日が古くなっていたのは気になりましたが、、、(平成12年でした)。とても暑い日に行ったのにもかかわらず、林はひんやりとしていました。水はとても冷たく暑いには最高の贅沢といった感じです。原村ではちょっと有名な湧き水で別荘地の人の多くが汲みに来ているそうです。

阿弥陀聖水

  


昔、なにかの機会にこの泉を整備したのでしょう、このサイトの写真には整った湧水の姿があります。
しかし今は上に載せた写真のように、崖の表面が崩れて露出し、湧き水を受ける樋も苔むしています。
でも、この方が湧水としては風情がありますね。
持っていったペットボトルに水を汲み、『阿弥陀聖水』をあとにしました。


歩きながら、行きにすれ違った乗用車のことを思い出しました。
後部座席とトランクには何十個ものポリタンクがぎっしり。かなりの重量のようで、悪路を車の底が擦れる直前になりながら、しずしずと進んでいました。
いかに綺麗な清水とはいえ、この時期に常温で長期間の保存は難しいでしょうが、個人で煮炊きに使ってもとても消費しきれるはずのない量。
茶店や宿で使っても知れているでしょう。
大勢の方から頼まれて汲みにきたのでしょうか。
あれだけのポリタンクを一杯にするには、勢いよくわき出している湧水でも相当の時間がかかりそうです。


美味しい水を飲みたい、その気持ちは誰にでもあります。
しかし、最近は度を超えた熱狂的な水信者がいるそうです。
天からの雨水が山に浸透し、長い時間をかけてようやく地表に出てくる清い湧水、誰のためのものでもなく、大事にいただきたいものです。