岡山・吉田牧場の「カマンベール」を食べる


チーズの王様は「パルミジャーノ・レッジャーノ」だ、いや「ブリーだ」、違う「エメンタールだ」と諸説あったとしても「チーズの女王は?」ときかれれば迷わず「カマンベール」を挙げてしまうでしょう。
そんな女王の中でも国産のとびきり素晴らしい「カマンベール」を大学の同じ学科の後輩でもある、宇部のHさんからいただきました。



宅配便屋さんの持ってきた箱は....



箱をあけてみると中には梱包材にくるまれて、某パン屋さんの袋。



その赤い袋からとりだしたものは、見た目より手にずしりと重たいカマンベールチーズ。
横からみるとまるで、2つ分重なって入っているようです。



なんでも生産量の少なさから、なかなか入手できない逸品。岡山の牧場の...とは聞いていたのですが、手元にきて「ああ、吉田牧場のだ!」と納得。



目の前には白カビ(Penicillium camemberti)でふっくりと覆われた姿。




いただいたのはもう1週間ほど前のことでちょうど製造から1月経った食べ頃なのですが、先週末にあけてみようと思いながら、体調がいまひとつだったので、チーズをじっくり楽しめないような気がして、少し日を延ばしていました。
まるでそれがかえって良かったかのように、ナイフをいれると熟成したチーズの断面が現れました。


白カビに覆われた表皮と固い部分、その下のとろけるばかりに滑らかなクリーム状の部分、そして中央のやや脂肪分の少なめな白い部分。製造後35日目の姿はパーフェクトです。



1/8程にカットすると、もうこれ以上はナイフをいれることができないという程の柔らかさ。



このフォークの先をみれば、100の言葉を尽くすよりチーズの様子が分かるでしょう。




カマンベールチーズは大好きですが、輸入品を買う時には今までかなりの当たり外れを経験してきています。
その理由の1つは塩分。
これは好みもあるのでしょうが、大半の輸入チーズは塩分が強すぎ、口の中でまろやかさや独特の風味を味わう前に、私の口が拒絶反応を起こしてしまうのです。そのために塩分の強すぎないチーズを探すのが大変なのです。その点、国産のチーズは比較的縁分量が少ないのですが、逆にまたチーズのもつ個性も少なめ。もともとはチーズを食べるような習性のなかった日本人向けにちゃんと考えられた風味になっていて物足りないこともあります。
それを見事にクリアしたチーズとでもいうのでしょうか。




スタンダードな赤でとも思いましたが、スペイン物のちょっと変わり種で。
『MONASTERIO DE SANTA ANA Monastrell "Aged in Oak" 2005 Jumilla』
(モナステリオ デ サンタ アナ)


モナストレル(ムールヴェドル)という品種の葡萄からできたミディアム・ボディーのワインで、ダークチェリーのような甘さを感じます。その甘さが塩分のあるチーズとは意外によくあう組み合わせだと思ったのですが、今回のカマンベールは塩分の強さを感じないタイプで、逆にワインの甘さが引き立ってしまいました。



のこり2/3をまた数日ずつおいて、この優美なチーズの女王を楽しむ予定です。
さて、ワインはどうしよう....





(岡山・吉田牧場の「カマンベール」その後 につづく)



吉田牧場

岡山県御津郡加茂川町上田東2390-3
tel:0867-34-1189